テロと難民の「そもそも」

今、世界各地でテロが頻発している。

ヨーロッパでは自称イスラム国による
昨年(2015年)11月13日のパリ、今年3月22日のブリュッセルでのテロ。
トルコでは昨年10月10日、12月1日、今年1月12日、2月17日、3月13日、3月19日と続いている。
犯行は自称イスラム国とクルド過激派がそれぞれに実行しているようだ。

テロはアジアにも広がってきている。
インドネシアのジャカルタで今年1月17日に起きたテロの首謀者は
自称イスラム国の東南アジア支部を設立した人物だという。
そして3日前(3月27日)にはパキスタン東部ラホールで70人以上の死者を出す自爆テロがあり
イスラム過激派の「パキスタンのタリバン運動」の一派が
イースター(復活祭)のキリスト教徒を狙ったとする犯行声明を出した。

一方シリア難民が押し寄せるヨーロッパでは
治安の悪化と国内の分断という深刻な状況に陥っている。

何故これほどまでに世界各地にテロが広がったのか?
何故シリアから大量の難民(もはや民族大移動)がヨーロッパに押し寄せているのか?

一言で言うなら、中東各国が混乱し不安定化しているからだ。
シリアだけではない。
イラクもエジプトもリビアもチュニジアも混乱している。

イラクではイラク戦争によってサダム・フセインが2003年に捕らえられ2006年に処刑された。
自称イスラム国はその後の混乱の中で生まれた。

2010年のチュニジアから始まった「アラブの春」では
民主化と称して「独裁政権」が次々と倒された。
実はサダム・フセインもエジプトのムバラクもリビアのカダフィも
イスラム世俗主義者であった。
政教分離を原則とし
イスラムの教えと西洋の進んだ科学や文化とのバランスを取りながら
近代的な国作りを目指していた。
欧米の民主主義者からみれば「独裁者怪しからん!」としても
あの地域を治め国民の生活を安定させる上で最適の政治体制だった。

世俗主義者が排除されれば、その後に座るのはイスラム原理主義者である。
イスラムの教えが全てに優先されるなら、国家を近代化することは出来ない。
国民が豊かになることも覚束ない。

中東の現在の混乱は
サダム・フセインやカダフィやムバラクが
「まともな指導者」であったことを証明している。

では彼らは何故「取り除かれた」のか?
たまたまそうなった?

そうではない。
彼らを取り除き、中東を混乱させたい者達がいると見るのが自然だ。
中東が混乱し、ヨーロッパが混乱し、アジアにもテロが広がっている。

アラブの春に続く各国の内戦では、アメリカが反政府側への武器供与をしていたそうだ。
これは今に始まったことではなく、
アメリカが裏で他国の政権打倒を画策した例は枚挙にいとまがない。

2012年9月にリビアのベンガジでアメリカ領事館が襲撃され、駐リビア大使ら4人が殺害された。
その背景として、2011年にリビアのカダフィ政権を倒した後、
アメリカが反政府勢力側に供与していた武器を
リビアから回収してシリアへと移そうとしたことがある。
駐リビア大使自らがその任務に携わっていたという(馬淵睦夫氏談)からビックリだ。

シリアは最後に「アラブの春」が波及した。
アサド政権が倒れれば、中東の混乱を企てた者達の所期の目的は達成される。
しかしアサドは踏ん張っている。
彼もまたヨーロッパで教育を受けて眼科医をしていた世俗主義者である。

中東イスラム諸国の混乱が収まれば
テロも難民流出も収束に向かうだろう。
具体的にどうすれば、というのは私には分からないけれど
物事の本質を皆が理解すれば、時間は掛かってもその方向へ進めるのではと思う。
少なくともシリアについては、アサド政権を支えるのが正しいように見える。

世界を自分の利益のためにどうこうしようという者達がいること。
その者達は強大な力と富を握っていること。
その者達にとっては国境が邪魔であること。
つまりはグローバリストであること。

それくらいのことは、私にも分かってきた。

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